海外FXの税金はどのくらい払うの?
海外FXは、高いレバレッジでのトレードが可能で、NDD(ノンディーリング・デスク)でトレードできることから、海外FXで取引する個人投資家が増えています。
海外FXは日本の法律が適用外のため、レバレッジなど比較的自由に感じることも多いかもしれません。また、追証がないのも魅力的です。
しかし、いくら海外FXだからといっても、所得に対する税金は発生します。ここでは海外FXの税金について見ていきましょう。
海外FXの税制
海外FXは「総合課税」に分類されます。
総合課税は、給与所得や不動産所得などにFXの利益を加算した金額に対して発生します。
総合課税による「所得税」は「累進課税」といい、所得(利益-経費)が増えるほど税率が高くなります。総合課税では、4,000万円以上の所得の場合は、所得から控除額を引いた金額に45%の所得税が発生します。
総合課税では、所得税のほかに「住民税」が別にかかってきます。住民税は10%(市町村民税6%+道府県税4%)+4,000円(均等割)です。所得の10%に4,000円を足した金額と覚えておきましょう。
国内FXと海外FXの税率の違い
一方、国内FXの場合、FXの所得に対する税金は「申告分離課税」です。
申告分離課税は税金が一律20%(所得税15%+住民税5%)で、ここに「復興特別所得税」の0.315%が加算された20.315%を支払うことになります。
たとえば、4,000万円のFXの所得があった場合を考えてみましょう。国内FXの場合は申告分離課税のため、812万6,000円の税金が発生します。
- 国内FX(所得税+住民税):4,000万円×20.315%(税率)=812万6,000円
一方、海外FXの場合は、累進課税になります。
- 海外FX(所得税):(4,000万円-479万6,000円[控除額])×45%(税率)=1,584万1800円
- 海外FX(住民税):4,000万円×10%(税率)+4,000円(均等割)=400万4,000円
- 海外FX(合計):1,584万,1,800円(所得税)+400万4,000円(住民税)=1,984万5,800円
損失繰越が出来ない注意点
海外FXの場合、「損益通算」はできますが「損失繰越」ができません。
損益通算とは、A社で100万円の利益があってB社で30万円の損失があった場合に70万円の利益として計上できる仕組みです。
損失繰越は、年間を通して損失になったときに損失を繰り越すことです。国内FXの場合、昨年70万円の損失を出して今年100万円の利益を出しても30万円の利益として計上できます。
しかし、海外FXは「雑所得」として計上されるために「損失」は認められません。前述の例で考えると、今年は100万円に対して税金がかかることになります。
海外FXの節税
海外FXも国内FXを同じように、FXにかかった費用は「経費」として計上できます。
経費に計上できる主なものには、書籍代・セミナー代・セミナーにかかった交通費・インターネットなどにっかある通信費などがあげられます。
ただし、パソコンやスマートフォン(スマホ)などの通信費はFX以外の用途でも使います。その場合、「按分(あんぶん)」といってFXに使った割合のみを申告します。按分の割合は税務署によって異なるので、不明点は管轄の税務署に確認しましょう。
また、海外FXだからといって脱税ができるわけではありません。一定期間後に入る調査で脱税が発覚した場合、追徴課税(追加で支払う税金)を支払うことになります。必ず利益に対して、所得を申告するようにしましょう。
海外FXの確定申告方法
海外FXの取引の多くは、MT4(メタトレーダー4)を使っていると思います。MT4で「年間損益計算書」を取得するには、「ターミナル」を開きます。
ターミナルは「メニュー→表示→ターミナル」で表示できます。
ターミナルの「口座履歴」で「右クリック」をします。「期間のカスタム設定」から損益を抽出したい期間(通常はその年の1月1日〜12月31日)を選択します。
表示された画面で「右クリック」をします。「詳細レポートの保存」でhtm形式でファイルを保存できます。保存したファイルはブラウザ(Google Chromeなど)で見ることができます。必要に応じて、プリントアウトして保存しましょう。